教育現場に傾聴を!【理事 菊地 菫】
月に1度、ご自身のメンテナンスのために
私の傾聴カウンセリングを受けて下さっている
お客様(養護教諭A先生)がいます。
A先生は私の傾聴カウンセリングを受けてくださる中で、
「傾聴」に興味を持ってくださり、
傾聴講座を受講して下さいました。
今日は、A先生が教育現場で実際に使っている
「傾聴」についてお伝えします。
A先生個人の成長に、
傾聴が必要不可欠だったと感じる場面は
これまでにも沢山あったのですが、
今回は実際の教育現場で傾聴を使う場面と
お子さんの変化について、
何か感じていただけるものがあればと思い、
場面を想像しながら読み進めて下さると嬉しいです。
A先生は、給食時間になると
低学年のクラスに入り、
アレルギー対応が必要で
お弁当を持参されているお子さんの隣に
座って給食を食べています。
A先生は、
みんなと同じものを食べられないお子さんの
気もちをよく聴いて、受け止め、
サポートしています。
皆と同じ給食が食べられないお子さんは、
「今日は、みんなと一緒のポテトが食べたい」
「給食いいなー」
「給食美味しそう」などなど
A先生に気もちを伝える場面が多々あるそうです。
そんな時にもA先生は
「食べたいんだね」
「給食おしいそうだよね」と
お子さんの言葉を丁寧に拾い上げ、
気もちを受け止めます。
その後には、
お子さんのお弁当を見て、
「餃子の皮は米粉を使っているんだね」
「すごい工夫しているんだね」
「いつも美味しそうなお弁当でうらやましいな」
「お母さんはお料理が上手なんだね」と
お子さんのお弁当から感じることも
そのまま素直に伝えて、
お子さんとのコミュニケーションを図っています。
傾聴に余計なアドバイスやなぐさめ、同情は
一切必要がないことも学ばれていますので、
会話はシンプルだけど、
実によくお子さんから
言葉を引き出しています。
お子さんもA先生を信頼して会話している様子が
伝わると思います。
話が少しソレますが、
皆と同じ給食を食べられない子どもは
「可哀そうな子」ではありません。
もし、可哀そうな子だと思うとしたら、
それは周りにいる大人が
「皆と同じものが食べられない子どもは可哀そうな子」だと
勝手に作り上げているのです。
A先生の役割は、
アレルギー対応の子どものサポートをすることですが、
1番大切な役割はお子さんの「心のサポート」です。
その心のサポートに「傾聴」を存分に使い、
お子さんの気もちをそのまま受け止め、静かに寄り添っています。
そして、
A先生も絶対に「可哀そうな子」にはしないと決意してくれています。
この先、お子さんが成長するたびに、
皆と同じものが食べられない不満や葛藤が
溢れてくるに違いありません。
その時に、お子さんの気もちをそのまま受け止め、
お子さんの悩みを共有して、共に進んでいくことが
子どもの近くにいる大人・教師にできることだと私は思うのです。
Aさんの目指す教師像は
「子どもの些細な変化を見逃さない養護教諭になる」です。
給食時間のサポートはわずかな時間ですが、
A先生はその時間を大切に過ごされています。
どうか、これからもお子さんの小さな変化を見逃さない
養護教諭でいてほしい。
その結果、目をかけてもらえる・置いて行かれないお子さんが
1人でも増えてくれたら‥と心から願わずにはいられません。
そのためには、
Aさんが日ごろの教育活動に自信を持つことができるように、
引き続きサポートさせていただきます。
私は、過酷な教育現場で奮闘する教師を絶対に独りにしません。
1人じゃ不安だけど、誰かと一緒なら、
教師としての自分に自信をもち、
子どもの持つ可能性を開花させることができると
私は信じています。
これからも、あなたの悩みを分けてください。
共に進んでいきましょう。
菊地 菫